1日夜、四国・高知県の上空を、米軍機とみられる機体が飛行していたことがわかりました。市街地の上空をプロペラ音を響かせて飛行していたほか、その5分後には3機が集団飛行する様子もデータで確認されています。

高知県危機管理部によりますと、1日夜、越知町の上空を米軍機とみられる飛行機が飛んでいるのが目撃され、高知県に情報提供があったということです。目撃された飛行機の機種はわかっていません。

また、1日午後10時55分ごろには、高知市上空を大きな音を立てて飛行する機体が目撃されています。飛行機は、「ブーン」というプロペラの大きな音を響かせて飛行していました。

航空機の位置情報などを公開している「フライトレーダー24」のデータによりますと、高知市上空で目撃された飛行機は、アメリカ軍の輸送機とみられています。

通常の飛行機は高度3万3000フィート(約1万m)上空を飛びますが、1日夜に高知市上空で目撃された輸送機は、高度1万2450フィート=3794.76mを、180ノット=時速333kmで飛行していました。

7月1日午後10時55分に高知市上空を飛行した、アメリカ軍の輸送機とみられる機体 「Flightradar24」より(『Flightradar24』より)

「フライトレーダー」のデータからは、この機体が、徳島県や愛媛県上空を飛行していたこともわかります。

また、その5分後=午後11時すぎには、四万十町沖の土佐湾上空を米軍機が「3機」飛んでいるのが、「フライトレーダー」で確認されています。

7月1日午後11時ごろには、四万十町沖の上空をアメリカ軍の輸送機とみられる機体が3機飛行していた(『Flightradar24』より)

3機とも輸送機とみられ、約1万6500フィート(約5000m)上空を、300kts(時速500km)ほどで集団飛行していました。

4月29日、高知龍馬空港に着陸した米軍の輸送機「KC-130」

米軍機の訓練は日米安全保障条約によって認められていて、アメリカ軍は「日本の航空法の範囲内」で訓練を行うことになっていますが、過去には、航空法で定められた高度よりも低い「超低空」で訓練を行っているケースも確認されています。

高知県でも、これまでにアメリカ軍とみられる機体の飛行訓練が相次いで目撃されていて、過去には4回、墜落事故も起きています。こうしたことから、米軍機の目撃情報が相次いだ2020年には、濵田省司知事が「超低空・夜間の訓練などを行わないよう米軍に求める」ことなどを、国に要請しています。

◆高知県からの国への要請の内容(2020年7月22日)
1.住民に不安や安全への懸念を抱かせるような危険性の極めて高い超低空飛行訓練や夜間における訓練など、異常な訓練は行わないよう米国に強く要請すること。
2.米軍機による低空飛行訓練等については、訓練ルートや訓練が行われる時期についての事前情報提供や、そのための具体的な工夫を行うこと。
3.国として現地における低空飛行訓練の状況を把握する方策を講じることよう米国に強く要請すること。

また濵田知事は、全国知事会を通じても同様の要請を行っていますが、アメリカ軍からは1日夜の飛行について、事前の連絡はなかったということです。

高知県は、1日夜の目撃情報を中国四国地方防衛局に共有し、飛行の目的などについて問い合わせているということですが、2日時点で詳しいことはわかっていません。