政治とカネの問題に加え、暮らしを圧迫する物価高や将来への不安解消に有効な手だてを打てない石破茂政権に対し、国民がノーを突き付けた。

 きのう投票の参院選で、与党の自民、公明両党の大敗が確実となっている。石破氏が勝敗ラインに掲げた「与党で、非改選を含む過半数(125議席)維持」さえ危うい状況だ。

 石破氏は続投意向を示すが、衆院に続いて参院でも自公が過半数を失えば、政局は一気に流動化しよう。

 対する野党は、第1党の立憲民主党が手堅く議席を増やす見通しで、国民民主党や参政党が大幅増となる勢いを示す。

 特に全国32の1人区では、自民が前回は28勝した議席を失う選挙区が相次いだ。複数の野党候補が競合した定数2以上の複数区でも、公明を含め与党が競り負ける事態が目立つ。

 全国屈指の激戦となった京都では、日本維新の会が参院選挙区で初の議席獲得を決め、自民現職が議席を守った。1人区の滋賀は、守山市長だった自民新人が競り勝った。

 物価高騰の中で迎えた今回の参院選は、負担の軽減が最大の争点になった。消費税減税・廃止を主張する野党各党に対し、与党は現金給付を打ち出した。

 だが、有権者の判断を左右したのは、減税か給付かの選択より以前に、積もり積もった自民政治への不信ではなかったか。

 新型コロナウイルス禍が終わっても、「平時に戻す」といいながら巨額の補正予算などで野放図な財政出動を続け、国の借金を膨らませた。