第57次南極地域観測隊に参加した「南極シェフ」の渡貫淳子さん(51)=東京都=の講演会がこのほど、京都府京田辺市田辺の市中央公民館であった。現地の写真や映像を見せながら、限られた食料で献立を考える工夫や食事の秘める役割を紹介した。
渡貫さんは2015年12月から1年4カ月間、昭和基地で設営・調理を任された。
基地への食料補給は年一回。余った天かすや青のりを生かし、後に大手コンビニで商品化された「悪魔のおにぎり」など、30人分の食事を無駄なく用意する工夫を披露した。
毎週金曜日のカレーライスや、熱湯で流す「氷山流しそうめん」など、南極ならではの食生活を紹介。「『逃げられないコミュニティー』において、食卓で生まれる会話や人間関係は大事。食事は心を癒やしてくれる」と振り返った。
子育て中の母親として初めて隊員に選ばれた経緯にも触れ「『無責任』という声もあったが、諦めたら一生後悔すると思った」と回想。「女性はライフステージが変わる機会が多い。変化をチャンスと捉え、自分の可能性を否定しないで」とアドバイスした。
男女共同参画週間に合わせ、市が催した。市民ら約110人が参加した。