制作サイドも気を配っていた様子がうかがえます
「ガンダム」シリーズのなかでも、1985年に放送されたTVアニメ『機動戦士Zガンダム』は、その内容がやや難しいとして名前を挙げられることのある作品でしょう。地球連邦軍内の軍閥「ティターンズ」と、同じく地球連邦軍内の組織ながら反連邦を掲げる「エゥーゴ」の対立を発端とする「グリプス戦役」を描く物語です。
2025年現在のように、配信でいつでも観なおせたり、インターネットで調べたりする環境はもちろん、ビデオデッキの全世帯普及率も3割程度(内閣府 消費動向調査による)だった最初のTV放送当時、リアルタイムで視聴していたお子様からは「わかりにくかった」「雑誌の情報で補完して理解した」といった声が聞かれます。
その要因のひとつは、上述したように、そもそもの争いが連邦軍内の内紛であることと、そこに物語中盤からジオン残党組織「アクシズ」も加わり、また登場人物の寝返りや裏切りもあって、誰が敵で誰が味方かわかりにくかったこともあるようです。放送を1、2回見逃したらお話についていけなくなった、というお子様もいたことでしょう。
また要因のひとつとして聞かれるのが、敵味方のモビルスーツ(MS)が分かりづらかった、という意見です。
シリーズの前作『機動戦士ガンダム』には、主人公側のMSが少なかったこともあり、また敵方のジオン軍のMSとはカラーリングの傾向が大きく異なることや、「モノアイ」という特徴もあって、敵味方はわかりやすいものでした。