万華鏡を手作りするアーティストとして国内外で活躍する京都府南丹市八木町出身の女性がいる。人の顔ほどある太い筒の先で、絹製の「つまみ細工」で仕上げた花飾りがつるされ、自動で回転する。のぞき込むと、宝石のようにきらめく模様が千変万化する。「没入感を味わってほしい」と工夫を重ねている。

同町八木嶋出身のフラワーアーティスト清水敦美さん(53)=横浜市。

生花を保存加工するプリザーブドフラワーを制作してきたが、「静止ではなく変化を楽しんでもらえないか」と10年前、花を生かした万華鏡を考案した。

正面から見ると一辺20cm以上の三角形をした鏡筒の先に、花飾りが変化して見える。

花飾りは、羽二重の小さな布片を花びら形につまみ、多い場合は100枚ほどを接着して一輪に。つまみ方を変えたり、布を重ねたりすると、丸く愛らしい花、角張ってりんとした花ができる。

太陽光発電で動く器具につるした花飾りは、糸のねじれに応じて左右に回る。

鏡筒に顔を近づけると、幻想的な世界が広がる。鏡筒を取り付ける板も、着物帯を再利用した生地で華やかに仕上げる。

国内の展示に加え、5年前から花の都・パリへもたびたび出展。ギャラリーで評価され、今年2月には5万人が来場するフランス最大級の美術展「アートキャピタル」に出品した。青が基調の作品「冬の華」で「寒い中でも咲く強さを表現した」という。

多くの来場者が足を止め、清水さんは「大きな万華鏡なので、親子で一緒にのぞいてもらえた」と、ほほえましい光景を振り返る。

輸送や管理の面からつまみ細工が中心だが「一番美しいのは生花」。季節の花を使った作品も既にあり、インスタグラムで公開、より力を入れたいという。

昨年は母校・旧吉富小での祭りで万華鏡を飾った。今後も「機会があれば出品したい」といい、故郷でも楽しんでもらうことを願う。

(まいどなニュース/京都新聞)