タイとカンボジアの国境紛争は26日も両軍の交戦が続き、24日以降の両国の死者は民間人と兵士を含めて少なくとも33人となった。国際社会は即時停戦を求めているが、双方が非難の応酬を続けている。

 カンボジア国防省は、26日早朝に西部ポーサット州の国境地帯でもタイ軍による砲撃があったと発表し、「計画的な侵略行為だ」と非難した。また、これまでに民間人8人と兵士5人の死亡が確認されたと明らかにした。

 タイのマーリット外相は26日に記者会見し、「カンボジアが国際法に違反する行為をただちに停止し、交渉のテーブルにつくよう求める」と述べ、タイ側は紛争を平和的に解決する用意があると強調した。

 一方、前日夜にはカンボジアのフン・マネット首相が、自身の交流サイト(SNS)で、東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国マレーシアのアンワル首相の停戦案に自国は応じたもののタイ側が攻撃を続けたため実現しなかったと投稿していた。

 両国は一部未画定の国境を巡って長らく対立してきた。最近の緊張の高まりを受け、国境地帯の住民が被害を受けていることに国際社会も懸念を強める。国連安全保障理事会は25日に非公開会合を開き、両国に即時停戦や外交による解決を求めたとされる。英字紙「クメールタイムズ」によると、カンボジアの国連大使は「紛争の解決はタイが真摯(しんし)に停戦に取り組む意思があるかにかかっている」と述べた。【バンコク武内彩】