全国高等学校7人制ラグビーフットボール大会は7月25日が最終日。予選プール1位によるカップトーナメント、2位によるプレートトーナメント、3位によるボウルトーナメントを勝ち抜いて準決勝に進出した各校が激突し、タイトルを目指して熱い戦いが繰り広げられました。

<大分東明vs東福岡>九州勢対決の行方は?

 予選プールを1位で通過した16校が参加したカップトーナメント。7人制ラグビーの高校日本一の栄冠をかけて、各校の優勝への想いが激突する準決勝・決勝となりました。

 準決勝第1試合は、去年のこの大会の準優勝校・大分東明(大分)と、この大会最多の3度の優勝を誇る東福岡(福岡)の九州勢対決。前半から、去年決勝戦で敗れた悔しさをバネに東海大大阪仰星(大阪)・早稲田佐賀(佐賀)といった難敵を下して勝ち上がってきた大分東明がペースを握ります。

 開始1分、東福岡キックオフのボールをしっかりとキャッチすると、そのまま一気に攻撃を仕掛けて、最後は山本愛翔選手が先制のトライ。さらに3分、今度は自陣のラインアウトから上野大惺選手がタッチライン際を快走してトライエリアまでボールを持ち込みます。

 あっと言う間に10点のリードを奪った大分東明。その後も東福岡の選手の動きをよく見て得点を積み重ねていきます。6分には、長く速いパスを駆使して反撃を試みる東福岡の狙いを察知すると、ナビニャータ アパクキ選手が判断よくそのパスをインターセプトしてそのまま中央にトライ。直後にもトライを加えて、22対0と大きくリードして前半を折り返しました。

 一方、逆襲の為には、是が非でも後半最初の得点をものにしたい東福岡。しかし大分東明の勢いを止めることができませんでした。大分東明のキックオフ、ボールの確保を試みた東福岡に対してアパクキ選手が鋭いプレッシャーをかけてミスを誘います。敵陣でボールを確保した大分東明は、ラインアウトから粘り強くボールをつないで、最後はアパクキ選手がこの試合3本目のトライ、ゴールも決めて29対0とリードをひろげました。この得点で勝負あり。その後の東福岡の反撃を2トライに抑えた大分東明が、34対12でライバルを振り切り2年連続の決勝進出を果たしました。

<国学院栃木vs桐蔭学園>ハードワークで“王者”を下す!

 準決勝第2試合は、大会連覇を狙う桐蔭学園(神奈川)と、この大会では、過去2度決勝進出を果たしながらあと一歩のところで優勝を逃してきた国学院栃木(栃木)の関東勢同士の対戦。序盤から、両チームがそれぞれの強みを発揮し合う緊迫した展開となりました。

 桐蔭学園が、個人の走力と突破力、ここ1番のチャンスを見逃さないボール奪取力で打開を試みると、国学院栃木は、連携を崩さない固いディフェンスと全員がハードワークしながら攻撃を継続していく粘り強さで対抗。両チーム、我慢比べの時間が続きます。

 先制したのは国学院栃木でした。前半3分、自陣から粘り強く攻撃を継続して敵陣深くまで攻め込むと、最後は家登正宜選手が中央にトライ。ゴールも決めて7点をリードします。一方、桐蔭学園もその後反撃。長いパスを駆使してグラウンドを広く使いながら何度も何度も突破を試みます。しかし、連携を崩さず一人一人が確実に役割を果たしていく国学院栃木の固いディフェンスをなかなか打ち破ることができません。逆に、前半終了間際には、自陣の深い位置でミスからボールを奪われてトライを献上し、14対0とリードをひろげられてしまいます。

 サイドの変わった後半。攻め方を変えて、縦への強い選手を当ててからの素早い展開で打開を試みる桐蔭学園。しかし、ここでも国学院栃木のディフェンスは崩れませんでした。しっかりと縦への攻撃を抑えると、素早く立ち上がって早い攻撃にも対応し、桐蔭学園につけ入るスキを与えません。

 そして後半6分、自陣から攻撃を仕掛けると、巧みにボールをつないで根岸悠羽選手が勝負を決定づけるダメ押しのトライ。終了のホイッスルが鳴るまで全員がハードワークを続けた国学院栃木が、王者・桐蔭学園を無得点に抑える見事な戦いぶりで決勝進出です。

<国学院栃木vs大分東明>緊迫の展開から突き放し初優勝!

 ともに持ち味を存分に発揮して勝ち進んできた決勝戦。大分東明と国学院栃木、どちらが勝っても初優勝というプレッシャーがかかる中で、先に流れをつかんだのは国学院栃木でした。前半2分、持ち味の固いディフェンスで大分東明の最初の攻撃を抑えると、自陣の深い位置から粘り強く攻撃を継続していきます。最後は、池田健心選手が鮮やかなステップでディフェンスのギャップをついて中央にトライ。ゴールも決めて7点をリードします。

 国学院栃木はさらに7分、右に左に展開しながらじわりじわりと大分東明陣内深くまで攻め込むと、今度は池田選手が2人にタックルを受けながらも、強引に体をねじ込んで右中間にトライ。14対0とリードして前半を折り返しました。

 それでも2チャンスで追いつける得点差。後半に入ると、大分東明は身長187cmと長身のナクルィランギ サケナサ選手を投入し、メンバーを入れ替えて反撃を試みます。そして後半のキックオフ、狙いどおりにサケナサ選手がプレッシャーをかけて敵陣のいい位置でのマイボールにつなげると、最初の攻撃で黒岩稜選手が中央にトライ。ゴールも決めて14対7とワンチャンスで同点の可能性のある点差に詰め寄りました。

 差はわずか、どちらに試合の流れが傾くのか。優勝に向けて緊張感が漂う時間帯、自分たちの戦い方を貫いたのは国学院栃木でした。次のキックオフで、集中力を保ってマイボールを確保すると、自陣から粘り強く攻撃を継続していきます。しかし、トライまであとわずかと迫ったところで、大分東明のサケナサ選手が渾身のタックル、ぎりぎりのところでピンチを防ぎます。

 それでも、国学院栃木の選手たちは落ち着いていました。続く、トライラインを背にした大分東明のスクラム、スクラムからボールが出たとところに鋭くプレッシャーをかけて大分東明のミスを誘います。すかさずボールを奪うと、このチャンスに素早い連携から最後は白谷怜大選手が左中間にトライ。ゴールも決めて21対7とし、一気に勝負の流れを引き寄せました。

 こうなると国学院栃木の勢いは止まりません。直後のキックオフを全員が素晴らしい集中力でマイボールにすると、素早い仕掛けから白谷選手が右隅にトライ。26対7として、勝負を決定づけました。試合終了間際には、キャプテンの福田恒秀道選手のトライで大分東明を突き放した国学院栃木。33対7の快勝で念願の全国大会制覇、7人制大会のタイトル獲得です。

試合結果

 そのほか、プレートトーナメントは、シーソーゲームの展開から、中部大春日丘(愛知)が、最後の最後で早稲田実(東京)を逆転して優勝。ボウルトーナメントは、石見智翠館(島根)が、粘る尾道(広島)を振り切りタイトルを手にしています。

<カップトーナメント>
▼準決勝
大分東明 34−12 東福岡
国学院栃木 19−0 桐蔭学園

▼決勝
国学院栃木 33−7 大分東明
(国学院栃木は初優勝)

<プレートトーナメント>
▼決勝 
中部大春日丘 22−21 早稲田実

<ボウルトーナメント>
▼決勝
石見智翠館 21―12  尾道