五島産業汽船(長崎県新上五島町)は23日、長崎−上五島航路の増便やダイヤの見直しなどを検討する意向を明らかにした。同航路で競合関係にある九州商船(長崎市)が8月25日から全便運休することを受けた対応。五島産業汽船の藤原圭介社長は「島民や来島者の利便性を第一に考えて検討していきたい」としている。

 五島産業汽船は町の指定管理者として、長崎港−鯛ノ浦港(同町)で、町有の高速船2隻を運航。1日2往復している。一方、九州商船は長崎港−有川港(同町)で高速船を1日3往復運航しているが、8月25日から全便運休すると今月7日に九州運輸局に届け出た。

 同社は、町に提出した文書で「町の所有を理由に、船舶修繕費など多額の費用に対して町が五島産業汽船に補助金(指定管理料)を支給している極めて不当な状況が続いている」とし、「不公平な状況での航路経営はこれ以上続けられない」と主張している。

 九州運輸局の日向弘基局長は23日の就任記者会見で「島に暮らす人たちの影響が最小限になるように情報を収集し、関係者とも対応を検討していきたいと思っている」と述べた。