津南醸造(新潟県津南町、鈴木健吾社長)は、日本酒の副産物である酒粕(かす)を活用した先進的な資源循環の取り組みを開始した。「酒粕由来の半導体材料の開発」など三つの重点開発テーマを掲げて異分野の研究者・企業との連携による研究開発を進めていく。これにより幅広い分野での「酒の再活用」を推進する。
今回の開発テーマの一つ「酒粕由来の半導体材料の開発」では酒粕に含まれる有機成分を炭素材料に変換し、導電性素材や環境配慮型の半導体への応用可能性を探る。再生可能資源としての酒粕の新たな用途を切り開く。
二つ目のテーマ「日本酒由来ナノ(ナノは10億分の1)粒子『SAKESOME』の応用研究」は日本酒中に含まれる微細な有用成分をナノ粒子レベルで分画し、化粧品や食品、農業資材などへの応用を目指す。現在、大学との共同研究も視野に入れた取り組みが進行中。
三つ目の「酒製造由来素材を用いた細胞培養食品原料の検討」では日本酒製造で生じる副産物を細胞培養の工程に活用し、細胞培養食品産業への応用可能性を探る。持続可能なタンパク源の確保に貢献する。
津南醸造はこれまで、FARM8(新潟県長岡市)が展開する植物性発酵ヨーグルトへの酒粕提供やMEMORY LAB(東京都渋谷区)と協力し生成AI(人工知能)を用いた日本酒製造工程に対する技術領域の俯瞰的調査を実施してきた。
今後も企業や研究機関、自治体などとの連携を深め、「アップサイクル」を軸とした社会的価値の創出に取り組んでいく。
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パソコンやスマートフォン、自動車など現代社会のあらゆる電子機器に欠かせない「半導体」。安全保障上の戦略物資とされ、産業をめぐる国際競争は激しさを増す。その主たるプレイヤーである台湾積体電路製造(TSMC)やラピダス、キオクシアなどの動きや最先端の研究開発の動向を追う。