<国内女子ゴルフツアー:大東建託いい部屋ネット・レディース>◇最終日◇27日◇福岡県ザ・クイーンズヒルGC(6503ヤード、パー72)◇賞金総額1億2000万円(優勝2160万円)

渡辺彩香(31=大東建託)が3年2カ月ぶりとなるツアー通算6勝目を挙げた。1イーグル、6バーディー、ボギーなしの64で回り、通算17アンダー、271。優勝は22年5月ほけんの窓口レディース以来。首位と2打差7位から出て逆転Vを果たした。鶴岡果恋が2打差2位。前日首位で、ツアー史上2番目ブランクV&7人目のママさんVを目指した一ノ瀬優希は12アンダーで7位だった。

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後続の結果を待つクラブハウスで渡辺の目から涙がこぼれ落ちた。ホステスプロとしての優勝。「いい時も悪い時も変わらず応援してくださった方々が喜んでくださる姿がうれしいし、選手として本当に幸せです」。優勝インタビューでも涙で声を詰まらせた。

笑顔もなく必死の表情でプレーし続けた。「優勝したい」。必死さとともに、気合から自然と何度もガッツポーズが出た。

体力温存でプレー後の練習を控える選手が多い中、連日居残り練習を続けた。「ドライバーを何とかしたかった。体力はある方だったので」。一方で、試合は勝ちにこだわった。最終日、ドライバー(1W)使用は3回だけ。スプーン(3W)を多く握った。理由を「安定性」と明かした。「セカンドショットが良かったので、とにかくバーディーチャンスを多く作りたかった」。“武器封印”がビッグスコアにつながった。

シード喪失も経験し、ツアー生活を辞めようと考えるほど苦しい時期もあった。先輩・上田桃子の言葉が支えになっている。「もっとやれるっていう気持ちがあるうちは絶対強くなれるよ」。夫の存在も大きな支えだ。21年2月に高校の同級生で柔道家の小林悠輔と結婚。朝、夫からLINEで「やることをちゃんとやれば勝てるよ」と励まされた。「早く優勝を報告したい」と声を弾ませた。

今後の目標について「ずっと(国内)メジャーで勝ちたいなと思っていた。考えてみようかな、という気持ちになってきた」。プレー中の必死の形相とは対照的に、控えめに明かした。【近藤由美子】