◆明治安田J1リーグ第24節 福岡2―2京都(21日、福岡・ベスト電器スタジアム)

 「博多の森」で何度も見た終了間際のドラマが今夜も起きた。福岡は0―2で突入した後半追加タイムにパワープレーから2得点。ゴール前に放り込まれた球を、途中出場のウェリントンと重見がそれぞれ押し込んだ。

 上位相手に敗色濃厚な展開から引き分け、リーグ戦で5試合負けなし。Jリーグ公式戦のクラブ最年長得点記録(37歳5カ月10日)を更新したウェリントンは「自分たちが成長してきていると示せたんじゃないか」と興奮が収まらなかった。

 後半9分に相手シュートが福岡の選手2人に当たって入る不運で先制され、直後にはリーグ戦で約1年2カ月ぶりに出場した奈良のハンドで与えたPKを決められた。紺野が入れたゴールは直前に味方のハンドがあったとして取り消された。

 意気消沈しても不思議ではない展開だったが、後半22分に投入された重見は「チームを前向きにさせる気持ちで入った」。試合終盤になるにつれて高まる観衆約1万人の手拍子に「自分のプレーがどんどん良くなっていく気がした」と奮い立つと、1点目はクロスを頭でつないでアシストし、2点目はこぼれ球に飛び込んで押し込んだ。

 金監督は「会場全体が機運を高めてくれ、途中出場の選手も躍動した」と感謝する。戦術を超え、一体感でつかみ取った勝ち点1を無駄にしない。(末継智章)