東芝ブレイブルーパス東京の2季連続2回目の優勝で幕を閉じた今季のラグビーリーグワン。一方で、シーズンオフに入った後は移籍や引退などで多くの退団選手が発表されている。実は近年、この退団選手の数が加速度的に増えているのだという。果たしてそこにはどんな理由があるのか? また、その現象が意味するものとは? 実際に今季、チームを離れたある選手に話を聞いた。《NumberWebインタビュー全2回の1回目/つづきを読む》
リーグワンで起きている「退団ラッシュ」
ラグビーリーグワンで退団ラッシュが起きている。
リーグワンは6月1日のファイナルと2日のアワードで2024−2025の年間スケジュールを終了。ファンの関心は6月28日のマオリ・オールブラックス戦から始まる日本代表戦に移り、各チームはオフに入っている。
そんな中で、静かに進んでいるのが移籍市場だ。
国内ラグビーがリーグワンとして再編されて3年半。旧トップリーグ時代と比べ、選手の移動が劇的に増えている。2024−2025シーズンを例に取れば、前年のワールドカップに日本代表で出場した選手だけをとってもSO松田力也が埼玉ワイルドナイツからトヨタヴェルブリッツへ、SH福田健太がトヨタヴェルブリッツから東京サンゴリアスへ、WTBレメキロマノラヴァがグリーンロケッツ東葛から三重ホンダヒートへ移籍してシーズンに臨んだ。
リーグワンになって初のプレーオフ進出を果たしたコベルコ神戸スティーラーズは遡ればSH日和佐篤とフッカー北出卓也がサンゴリアス、No8サウマキ・アマナキとWTBイノケ・ブルアは横浜キヤノンイーグルス、SH中嶋大希はグリーンロケッツ、CTBマイケル・リトルは三菱重工相模原ダイナボアーズからの移籍組。彼らの活躍なくして躍進はなかった。
これらの選手の活躍、目立つ選手の移籍の背景には、当然ながらもっと多くの分母がある。
つまり、移籍者を上回る退団者の数だ。
国内シーズンが終わりに近づく3月末からオフに入る6月にかけて、リーグワンの各チームは退団者を発表する。そのリストがトップリーグからリーグワン時代になって、年々長くなっている。端的に言えば、選手の退団が増えているのだ。
チームひとつ分の人数が続々退団…なぜ?
今季でいえば、D1では相模原ダイナボアーズが20人、東京サンゴリアスと浦安D-Rocksでは16人の退団者リストを発表した。D2の花園近鉄ライナーズは17人、豊田自動織機シャトルズ愛知とグリーンロケッツ東葛は16人。ラグビーのチームがひとつ作れる規模の人数が去って行くチームが続出している。
なぜ、リーグワンになって退団者が激増しているのか。そこには、トップリーグ時代とは大きく変わった現状による「ある理由」がある。
<次回へつづく>
文=大友信彦
photograph by Yuki Suenaga