E-1選手権で3度目の優勝を飾ったサッカー日本代表。今大会で存在感を改めて発揮したのが長友佑都だ。一方で「現在38歳の長友を北中米W杯まで頼ること」については、考えられるべき議題でもある。今大会の現地で見えた、長友と森保ジャパンの現在地とは。《第2回/前編から続く》

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12試合連続ベンチ外…屈辱はいかばかりだったか?

 熱量不足という宿題を抱えた森保ジャパンに、アジア杯の2カ月後のタイミングで戻ってきたのが長友だった。この人選を、森保監督がチームの内側から熱量を高めていける人材を欲していることの現れだと解釈するのは自然なことだった。そして、長友自身も仲間を鼓舞する立場や役割を意気に感じ、実践した。

 だが、1年3カ月ぶりの代表復帰からさらに1年3カ月もの間、つねに招集され続けながら一度も試合に出る機会を与えられないことを誰が想像しただろう。W杯4大会出場のレジェンドが12試合連続ベンチ外という屈辱はいかばかりだったか。

 しかし、長友は気弱になる様子を一切見せなかった。そして、やってきたE-1選手権。長友は初戦の香港戦で13試合ぶりのベンチ入りを果たし、ピッチの真横からピッチ内を鼓舞し続けた。試合後は久々にミックスゾーンを通り、メディアに試合直後の思いを肉声で伝えた。

「今までは遠い上の方(スタンド)から見ていたので僕の声はピッチに届かなかった。でも、ベンチからだと声も届くし、彼らを鼓舞することや自分の経験から感じたことを彼らに伝えることもできる」

 目が生き生きとしていた。