フィリップ・トルシエが語る東アジアE-1サッカー選手権、日本対韓国の第2回である〈全3回/第3回につづく〉。
試合を通して唯一の得点は、開始間もない8分にジャーメイン良が決めたものだった。相手守備陣を崩し切ってのゴールではない。効果的なクロスと、シンプルで的確なシュートが生んだ得点。唯一最大のチャンスを生かし切った日本は、その後は安定した守備で、後半の韓国の圧力も跳ね返し続けた。
ベテランの経験と成熟したプレーに依拠した、森保一監督の理詰めのマネジメントの勝利。だが、トルシエが大会で最も注目したのは、ジャーメインとともに3試合ともピッチに立ったひとりの若者だった。
佐藤龍之介。今季のJリーグでめきめき頭角を現した18歳を、トルシエはどう見たのか。また佐藤以外で、W杯の秘密兵器となりうる存在感を示したのは……トルシエの言葉は続く。
欧州組に交じった時のリュウノスケを改めて見たい
――日本の得点は、ジャーメインが的確なプレーで決めたゴールでした。
「まさにその通りで、相馬勇紀のクロスが韓国の守備を崩したわけではなかった。シュートもとてもシンプルなプレーだった。あのシーンに限っていえば大いなる得点のチャンスではあったが、それ以外に日本は得点機会を作り出せなかった。それよりも韓国にこそ同点のチャンスが数多くあった。ただ、チャンスの数で勝負が決まるわけではない。少ないチャンスのチームが勝つのは、サッカーではよくあることでもある。
アジアのリーダーシップをめぐる戦いを制したという点で、日本にとって大きな意味のある勝利だった。日本の存在感を存分に示し、日本がナンバーワンであることを改めて証明した勝利でもあった」
――それではこの大会で頭角を現した日本の選手は誰でしたか?
「すでに君にも話したが、私は佐藤龍之介がとても気に入った。日本がゲームを支配する試合、ヨーロッパ組に交じったときの彼のプレーを、改めて見たい」