昨年、プロ野球の阪神タイガース公式SNSが、一部のファンによる「ヤジ」に注意をよびかける動画を公開して話題になった。相手球団に「くたばれ」などと叫ぶヤジがお馴染みだが、相手を貶めるような言葉を投げつけるのは、お互いによいことはないと改めるようになってきた。その一方で、清く・正しく・美しくを信条とするはずの高校野球で、球場だけでなくSNSも巻き込んだ凄惨な空間が発生していた。ライターの宮添優氏が、一部のファンによる悪質ヤジ、審判への個人攻撃被害についてレポートする。

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 灼熱の太陽の下での長時間プレーによる選手たちへの悪影響が問題視され「7イニング短縮論」が飛び出したり、競技人口減少の影響からか、部員が足りない学校同士が集まった「連合チーム」が増加傾向にあるなど、様々な面で転換期を迎えている高校野球。運営面での議論は様々あるが、子供達のハツラツとしたプレーは現代も変わらず健在で、すでに開催中の地方大会から大熱戦、大激戦が繰り広げられ、見る者に大きな感動を与えている。だが、そんな感動の現場、そしてSNS上には、青春の清々しい空気を台無しにする、迷惑な人たちがいると言う。

「本当は生徒応援席の近くに行きたかったんですが、満席で仕方なく離れた席に。でも、その席は始まった瞬間からうるさい人が何人もいました。お酒も飲んでました。かませーとか、殺せってのもあった。選手に聞こえていたら嫌だろうし、周りも私たちも引いてました」