今回の参院選で気になるのが投票率です。24年10月の衆院選で、広島の投票率は48.40%で全国最低でした。未来を担う「若者」と「選挙」について考えます。

会社員男性(20代)
Q、投票に行く?
「行く。コメのことや自給率などに興味がある」

子育て中の夫婦(30代)
「給付金をもらうとありがたいが、子どもが大きくなって、金がなくて困ってほしくない」

「物価高対策」や「給付・減税」など、生活に身近な争点も少なくない今回の参院選。しかし、こんな意見も…。

20代女性
Q、投票に行く?
「行かない。予定が入った。話が難しくてわからない。誰が何をしたいのか…」

RCC

24年10月の衆院選で、広島県の投票率は全国で最も低い48.40%でした。

一方、全国の年代別の投票率を見ると、10代が39.43%。20代が34.62%で、若年層の低調が目立ちます。5歳ごとに区切ってみると、特20歳から24歳が30.99%で最低です。専門家はー。

広島修道大学 澤俊晴教授
「18歳のときには高校で主権者教育を受けて『選挙に行くんだよ』と言われ、投票所も家から近くて行ける。その後、進学・就職で地元を出たときに住民票を移していないとか、それ以外のことで忙しくなっているということで、投票に行かないということが如実に表れている」

こうした状況を、若者自身が変えていこうという動きもあります。

大学生主体のNPO法人ドットジェイピーは、同世代向けの選挙啓発イベントなどを開いています。

広島大学1年 武井彩音さん
「広島大学教育学部1年です。出身は京都です」

広島大学1年の武井彩音さんは今回初めて参加しました。

イベント司会の女子学生
「衆議院・参議院の定員組み合わせとして正しいのは次のうちどれ?」

参加者は政治について基礎から学んでいきます。

広島大学1年 武井彩音さん
「『248』という数字が見覚えある。②か③だと思う…だからどっちやねんって感じ」

同じグループの男子学生
「②だと思う」

RCC

イベント司会の女子学生
「正解は②です(拍手)」(衆議院=465人/参議院=248人)

広島大学1年 武井彩音さん
「せっかく選挙権を持っているので、有意義に使っていかないといけないと前から思っていた。政治について知るきっかけにするため参加した」

参加者は選挙のルールや投票方法を学んだほか、重視する政策などについて意見を交わしました。

広島大学2年 女子学生
「私たちがターゲットにするのは子ども・ファミリー層。子育て支援を充実させたい」

広島大学1年 武井彩音さん
「インフラを整備。直近だと南海トラフ地震の備え」

今回の参院選で初めて投票に行くという学生も少なくありません。

尾道市立大学2年 男子学生(島根出身)
「去年10月に選挙権を得たが、部活がかぶってそちらを優先した。投票率を考えると、若者がしないといけない。やろうという気持ちになった」

広島大学2年 女子学生(愛媛出身)
「大学生は地元じゃないことが多い。このまちに貢献しようという気持ちが生まれにくいので、高めていきたい」

イベントを企画した学生は同世代が交流する場を大切にしたいと話します。

RCC

広島大学2年 井下優貴さん
「どうしても周りは政治に興味ない。『選挙あるんだ』みたいな。政治をフランクに話せる場があったらいいなと思っている。そういう話題で溢れたらいい」

高校に期日前投票所設置 投票率アップの鍵を握るのは「子育て世代」

RCC

各市町の選管も動いています。若者により手軽に1票を投じてもらおうと、大学や高校への期日前投票所の設置が相次いでいます。

吉田高校 男子生徒
「初めての感覚だったので、すごく緊張した。政治に参加できて、大人に近づけてうれしい」

吉田高校 別の男子生徒
「選挙活動の車が通っていて、がんばっている人の名前を入れようと思った。関心はあまりなかったが、今は少しある」

吉田高校 女子生徒
「みんなより先に投票して、一歩先に進んだ感じ」

吉田高校 別の女子生徒
「政治についてしっかり考えるいい機会になった」

地方自治が専門の広島修道大学・澤俊晴教授は現役の学生、生徒だけではなく、「子育て世代」も若年層の投票率アップの鍵を握っていると指摘します。

広島修道大学 澤俊晴教授
「親が投票に行かないという家は子も行かないという気がして、そういう学生もいる。親が一切行かない家庭は、投票の仕方も分からない。どこが自分の投票所なのかも知らない。ハガキが届いても親も捨てるから自分も捨てるとなる」

RCC

総務省の調査では、子どものころ親の投票に同行したことがある人は同行したことがない人に比べて、投票する割合が20ポイント以上高いことがわかっています。

広島修道大学 澤俊晴教授
「子どもに背中を見せてる親が投票に行く姿を見せないといけない。若者だけに特化した対策ではなく、子育て中の親に投票に行くことを考えてもらうことが大事」