七福神の中で、幸福、財宝、長寿を司る「福禄寿」。この神様に見た目が似ていることから名前がついた「フクロクジュクラゲ」を、広島県の福山大学が世界で初めて、繁殖と展示に成功しました。

フクロクジュクラゲは傘の部分が、額の長い七福神の「福禄寿」に似て縦長です。成長すると傘だけで10㌢になります。ハワイなどに分布しています。

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福山大学の飼育水槽のこちらのろ過槽で2025年3月、クラゲの赤ちゃんが見つかりました。見つけた当初は「謎」の赤ちゃんクラゲという認識でした。

福山大学生命工学部 水上雅晴 講師
「1㍉程度のクラゲの赤ちゃんがポコポコポコポコ、茶色の色がついていたので、よく見たらいっぱいぶわーといるのがわかった」

その時のクラゲの様子がこちら。傘を横に広げたり、細めたりしているのがわかります。

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さらに、セラミックの濾材には1㍉前後の「ポリプ」が付着していました。水上講師によると、この水槽では大学内で繁殖したタツノオトシゴの仲間を飼育しており、南の海から生き物を搬入したことはないと言います。一方で、瀬戸内海の水を引き込んだり、採取した魚を飼育したりしたことはありますが、侵入経路は不明なままです…。

クラゲが専門の生命工学部 泉 貴人 講師は、形からこのクラゲをフクロクジュクラゲと推定。遺伝子解析で特定にいたりました。

新江ノ島水族館など3つの水族館にも分けて飼育してもらい、研究での連携を図ることにしています。

生命工学部 泉 貴人 講師
「成長過程とか、どう繁殖するのかみたいなものが、まったくつながっていないので、フクロクジュクラゲ全体の知見を増やしていけたらな」

福山大学の水族館では、当面の間、展示するということです。