[ベルリン/北京 27日 ロイター] - 中国政府による輸出規制で滞っていた同国産レアアース(希土類)磁石の流通が再開したため、自動車のサプライチェーン(供給網)全体が停止する脅威は弱まりつつある。だが自動車メーカーと部品業者の話では、生産計画は依然として不確実性に直面しており、供給不足のリスクが解消されたわけではない。

欧州自動車部品工業会(CLEPA)の市場部門責任者、ニルス・ポエル氏は、欧州の部品業者は今月に入って予想されていた幅広い混乱を回避するのに十分なライセンス(輸出許可)を受け取ったものの、何百件もの申請が今なお承認されていないと話した。

同氏は、ライセンスの発行件数が申請件数全体に占める比率は25%から60%に上昇したが、エンドユーザーが米国を拠点としている場合や、製品がインドなど第3国を経由する場合は、審査に長い時間を要したり、審査が優先されていなかったりすると指摘。「全体としては多分、7月も生産できるという感触であり、影響は対処可能であろう」と語った。

米自動車大手フォード・モーターのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は27日、米コロラド州で発言し、同社は磁石不足のため複数の工場をここ3週間ほど閉鎖しなければならなかったと明らかにしたが、詳しくは説明しなかった。

一方、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)はロイター宛ての声明で、レアアース部品の供給は安定していると説明。欧州の同業ステランティスは、目先の生産を巡る懸念には対処済みだとした。