Tamiyuki Kihara Kentaro Sugiyama Yoshifumi Takemoto

[東京 23日 ロイター] - 23日に決着した日米の関税交渉を巡り、米側がすでに7月中旬の時点で合意の見通しを日本側に伝え、参議院選挙(20日投開票)直後の赤沢亮正経済再生相の訪米を打診していたことが分かった。決め手は5500億ドル(約80兆円)の対米投融資に日本政府が関与する枠組みを盛り込んだこと。複数の政府関係者が明らかにした。日本は合意に基づき詳細を今後詰める。

4月中旬から続いた関税協議は、日本側が赤沢氏、米側がベセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア米通商代表部(USTR)代表を交渉担当に指名した。赤沢氏が最も頻繁に話し合いを重ねたのはラトニック氏で、日本の政府関係者の1人によると、赤沢氏は7月中旬にラトニック氏から「合意ができるかもしれない。21日か22日に訪米してほしい」と打診を受けた。

日本政府は米側に造船の技術協力や投資拡大策、液化天然ガス(LNG)の購入増などを断続的に提示してきたものの、トランプ氏の関心を引くことができずにいた。6月中旬にカナダ西部のカナナスキスで開いた日米首脳会談でも合意できなかった。

同関係者らによると、日本は戦略を変更。米側の助言を採り入れ、どうすればラトニック商務長官がトランプ大統領に説明しやすくなるかを実務者レベルで考えた。従来の提案をすべて白紙に戻すことにし、国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)が関与する5500億ドル規模の融資・保証枠を新たに提示した。