服につく汚れのなかでも、特に厄介な「油染み」。時間が経ってしまうとますますきれいに落ちづらくなるため、汚れに気づいたときは慌ててしまいますよね。服についた油の染みは、なぜこれほどまでに落としづらいのでしょうか? 今回は、ライオンケミカル株式会社の方に、「服についた油染みが落ちにくい理由」と「油染みの種類」について教えていただきます。
教えてくれたのは……ライオンケミカル株式会社さん
創業140年以上の技術、豊富なノウハウを活かし、殺虫剤、入浴剤、洗浄剤、消臭剤など、幅広い日用品を開発・製造・販売するライオンケミカル株式会社。「よりよいモノを、よりリーズナブルに」を合言葉に、NB・PB・OEM事業を拡大中で、和歌山県から全国、世界へと販売網を展開している老舗企業です。
服につく油染みの種類
「油染み」といっても様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。ここでは、服につく油染みでよくある4つの種類について、詳しく解説していきます。
【1】「化粧品」による油染み
化粧品のなかでも油分が多く含まれているファンデーションや口紅などは、衣類に付着すると油染みの原因になります。
化粧品は汗や水で簡単に落ちないように設計されていることにより、服についた油染みはさらに落ちにくくなります。また、ウォータープルーフ仕様の化粧品は、顔料や油分を特に多く含んでいるため、汚れが繊維に浸透しやすくなります。
【2】「食品」による油染み
食品による油染みは、大きく分けて以下の3種類になります。
- 植物性油染み……サラダ油、ごま油、オリーブオイル
- 動物性油染み……肉の脂、バター
- 揚げものや炒めものなどの調理中に飛び散る油
植物性油染みは常温でも固まりにくい性質があり、服につくと繊維に浸透しやすく汚れが落ちにくくなります。また、動物由来の油は常温で白く固まる性質があり、時間が経つと繊維に定着しやすくなりガンコな汚れになります。
【3】「皮脂」による油染み
皮脂による油染みは、皮脂が衣類につくことで生じます。
皮脂は油分を含むため、水に溶けにくい性質があり、繊維に浸透するとシミとして残ることがあります。
また、ワイシャツ、パーカー、Tシャツなどの袖や脇、首元にできる黄ばみは、皮脂汚れが空気中の酸素に触れて酸化することが原因です。さらに、ホコリや他の汚れが加わることで黒ずみが生じ、繊維に深く浸透して通常の洗濯では落とすのが難しい汚れになってしまいます。
【4】「機械油」による油染み
オイルやガソリンなどの機械油は粘着性が高く、時間が経つと繊維の奥まで入り込んで固まります。そのため、衣類に機械油が付着すると他の油染みと比較しても汚れが落ちにくく、完全に落とすには適切な処置が必要となります。
服についた油染みが落ちにくい理由とは?
油染みの原因となる油の種類は様々ですが、共通していえるのは、「油は水に溶けにくく、通常の洗濯では汚れを取りにくい」ために、服についた油染みは落ちにくいのです。
油染みとは、油分を含んだ油溶性の汚れで、衣類に油脂が付着することで生じます。時間が経つと繊維のなかに油が入り込んでしまうことで、さらに汚れが落ちにくくなってしまいます。また、水だけで何度も洗ったり、強くこすったりすることで、汚れが繊維に入り込んでますます落ちづらくなってしまうことも考えられます。
次回の記事では、「時間が経った服の油染みを落とす方法」についてお伝えします。
鈴木杏/ライター