水深が深くミネラル分が多い相模湾は、国内でも有数の多様な魚介類の宝庫。そんな湘南エリアを訪れたなら、獲れたての海鮮を食べない手はない! 王道の海鮮丼から驚きあふれるフレンチコースまで、間違いなしの4軒を大公開。
鮮度抜群ド直球!自由な組み合わせに心奪われるランチ『海鮮めし屋 磯人(いそじん)』【茅ケ崎】

ぶ厚く切られた生きのいい刺し身、ザクザクの衣とぷりぷりの身のエビフライ、どーんと迫力あるカンパチのカブト煮——。ボードに書かれた「その日のおすすめ」の値段はランチとしてはややお高めだが、運ばれてきた料理を見た瞬間「コスパ最高!」と心の中で叫んでしまう。しかも刺し身盛りとフライ、6種ものネタがのる海鮮丼とカブト煮など、好きな組み合わせで定食にできるなんて、幸せ以外のなにものでもない。店主の高橋さんが平塚茅ヶ崎魚市場で仕入れる魚介は、形、色ツヤ、手触りを自ら確かめ厳選したもの。「魚に敬意を持ち、丁寧な仕事を心掛けています」という凛とした姿勢に、地元はもちろん遠方からも客を呼び寄せる。


『海鮮めし屋 磯人』店舗詳細
海鮮めし屋 磯人(かいせんめしや いそじん)
住所:神奈川県茅ヶ崎市浜須賀3-26 ハイツ平和101/営業時間:11:30〜14:30LO/定休日:日・月(月が祝の場合は日営業し、月・火休)/アクセス:JR東海道線・相模線茅ケ崎駅からバス8分の「浜須賀入口」下車、徒歩1分
見た目も美しい個性あふれるカキたちの競演『OSTMEET(オストミート)』【鵠沼海岸】

潮の香りが漂うここ鵠沼海岸は、フレッシュな生ガキをいただくのに絶好のロケーション。2024年オープンの界隈唯一のオイスターバーには、北海道から九州までさまざまな産地で育った生ガキが常時6、7種揃う。直接生産者に会ってセレクトしたものもあり、一粒一粒のキャラ立ちがすごい。「濃厚でミルキーなものや、サッパリとして歯応えのあるもの、貝柱の甘みが強いものなどさまざま。ぜひお気に入りを見つけて」と、店長の石川美貴さん。ランチは月替わりのパスタやカキフライもあり、カキの魅力を余すことなく味わえる。ワインはもちろん、カキに合うビールや日本酒もスタンバイしているので、ペアリングも楽しんで。



『OSTMEET』店舗詳細
OSTMEET(オストミート)
住所:神奈川県藤沢市鵠沼海岸3-12-3/営業時間:11:00〜15:00・16:00〜21:00(金・土・日は〜22:00)/定休日:火(最新の営業日はSNSを参照)/アクセス:小田急江ノ島線鵠沼海岸駅から徒歩4分
食材の宝箱藤沢の底力を心ゆくまで味わう『旬菜おばんざい とうたく』【藤沢】

生まれも育ちも藤沢の店主・三木崇さん。店名も「藤沢」の音読みから名付けたというほど地元愛にあふれている。「このあたりはうまい食材の宝庫。自分の料理を通してそれを知ってほしい」と三木さん。こざっぱりとした店内で主役を張るのは、逗子市の小坪漁港や鎌倉漁港で獲れた相模湾の海産物。カツオ藁焼きタタキは、鮮やかな赤身で濃厚な味。生締めのカサゴを11年間注ぎ足し続けたたれで調理した煮付けは、しみじみとした旨味が口の中に広がる。シラスと地ワカメの酢の物、藤沢トマトの煮びたしなど、地産地消のおばんざいが絶妙の合いの手に。お酒好きは、希少な秋田の日本酒「新政」もぜひ試してみて!





『旬菜おばんざい とうたく』店舗詳細
旬菜おばんざい とうたく
住所:神奈川県藤沢市朝日町9-4 朝日ビル1F/営業時間:17:00〜22:00(最終入店〜21:00)/定休日:日・祝の月/アクセス:JR・私鉄藤沢駅から徒歩8分
大自然の恵みとシェフの情熱が生む唯一無二のフレンチ『フランス厨房 ル・パスポート』【平塚】

コースのスターターはシェフ・村上貞弘さんが丹沢山でくんだ一杯の湧き水。清らかな味わいにハッとさせられるが、驚きはまだ序の口だ。オードブルにあしらうクレソンの花やドレッシングのセイタカアワダチソウは野山に分け入って採取。スープのスッポンは深夜の川釣りで調達し、メインの最高級アカアマダイは小田原魚市場で自ら競り落とす。そう、こちらで振る舞われる料理の食材はすべて村上さんが自力で集めた無添加のもの。バターやマスタードなど調味料も手作りで「自然の恵みから作れないものはない」と頼もしい言葉。8000 円のコースでは、にぎり鮨と自家製チーズも登場。スリリングな美味の冒険を体験したい。





『フランス厨房 ル・パスポート』店舗詳細
フランス厨房 ル・パスポート
住所:神奈川県平塚市八重咲町22-8/営業時間:11:30〜14:00・17:00〜20:00LO/定休日:木/アクセス:JR東海道線平塚駅から徒歩6分
取材・文=平野かおり 撮影=井原淳一
『散歩の達人』2025年7月号より