与党が過半数割れした参院選を受けて、関西経済界のトップからは政治の安定と経済成長の実現を求める声が相次いだ。関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は「政治的停滞に陥ることなく、建設的な議論を尽くし、政策の着実な推進を」と訴えた。

自民・公明の連立与党が過半数を割り込んだことについて、大阪商工会議所の鳥井信吾会頭(サントリーホールディングス副会長)は「自公政権にとって、厳しい結果となった」と指摘。「選挙結果を真摯(しんし)に受け止め、わが国経済を中長期の成長に導く戦略を十分示してほしい」と求めた。

トランプ米政権の関税政策による関西企業への影響を不安視し、「景気の先行き停滞が懸念され、とりわけ中小企業・小規模事業者が直面する人手不足や原材料高、価格転嫁を支援する政策が滞ることは避けなければならない」と強調した。

関西経済同友会の永井靖二代表幹事(大林組副社長)は、石破茂政権に対し、「実行力を発揮し、成長型経済の実現と国民の安心・安全の確保に向けた政策を確実に進めていくことを望む」とした。

さらに、「持続的・安定的な物価上昇とそれを上回る賃金上昇の定着を図るため、引き続き機動的な政策発動が必要」と言及。「新産業の育成に資する労働市場改革や規制緩和に向けた税と社会保障の一体改革など、構造改革への取り組みを先送りすることはできない」と述べた。

大阪・関西万博開催による経済振興への期待も引き続き強く、松本氏は関経連として、「万博の成功と、これを契機とした最先端技術の社会実装・インバウンド(訪日客)観光の振興に向けて全力を尽くす所存であり、政府とも連携をはかっていく」と表明した。(井上浩平)