日米関税交渉で焦点になっていた米国産米の輸入拡大は、日本が外国産米を無関税で輸入するミニマムアクセス(最低輸入量)の枠内で対応することになった。日本政府は主食用にも使える中粒種米を想定するが、用途は加工用や飼料用に限定する考えで、スーパーなどの店頭に並ぶコメの価格に影響は出ない見通しだ。
小泉進次郎農林水産相は23日、農水省で記者団に対し、米国産米の輸入拡大は「新たな(農業)市場開放には全く当たらない。(輸入)枠が増えることを食い止めたと農業者に安心してもらえるかと思う」と話した。
日本は世界貿易機関(WTO)の協定に基づき、毎年コメを無関税で輸入している。輸入するコメのうち10万トンが主食用で、残りが加工用や飼料用となる。2024年度の輸入量は計76万7千トンで、国別では米国が34万6千トンと半分近くを占め、タイやオーストラリア、中国が続いた。
政府は、米国産米の割合を増やすのは加工用や飼料用とする方針だ。米国産の中粒種「カルローズ」が中心になるとみられるが、店頭に並ぶことはないという。
米国産米の輸入拡大を巡り、トランプ氏は6月30日、自身の交流サイト(SNS)に「日本はわれわれのコメを受け取らない。深刻なコメ不足なのにだ」と投稿し、不満を表明していた。(中村智隆)