全国のレジャー施設でチケット料金の値上げが相次いでいる。帝国データバンク(TDB)の調査によると、今年に入り料金を引き上げた施設は71施設に上り、前年の37施設から約1・9倍に増加した。物価高の波は、家族連れの夏の定番行楽先にも押し寄せている。

調査は、遊園地やテーマパーク、水族館、動物園など、全国の主要レジャー施設190施設を対象に実施された。その結果、値上げを行った施設は2023年の調査以来で、最多となった。

施設別にみると、遊園地を含むテーマパークでは、対象の100施設のうち51施設が値上げし、初めて全体の半数以上を占めた。水族館や動物園でも、値上げした施設は前年よりも増加しているという。

チケット料金全体の平均価格は、施設へ入場するための一般券(入場料)が1695円で、前年の1626円から69円上昇。入場料とアトラクション乗り放題がセットになったフリーパスは4846円と、前年から249円上がった。

ゴールデンウイーク(GW)や夏休みといった繁忙期や土日祝日などに通常とは異なる料金設定を行う「変動料金制(ダイナミックプライシング)」の導入も進んでいる。フリーパスは大人1人あたり5000円に迫る水準に達しているという。

個別施設の例では、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市此花区)の「1 デイ・スタジオ・パス(大人)」が1万1900円と全国で最高額となった。

電気代や人件費などの運営コスト上昇に加え、混雑緩和や待ち時間の短縮といった「付加価値」を打ち出す高価格帯チケットの導入も進む。テーマパークでは「プレミアム化」の傾向が強まる。こうした値上げが進むことで、若者のテーマパーク離れやリピーター離れ、来園意欲の低下も懸念される。

TDBの担当者は「大規模な施設を中心に、来場者数から単価重視への流れが強まっている」と指摘し、「来年以降も価格改定が続く可能性がある」と分析している。