古代中国で生まれ、次第に朝鮮半島や日本などに広まり、いつしか欧州の王侯貴族の間でも珍重されるようになった宝玉のような色を持つやきもの、青磁。大阪市立東洋陶磁美術館(同市北区)で開催中の「CELADON−東アジアの青磁のきらめき」(産経新聞社共催)は、同館が所蔵する東アジアで作られた名品を一堂に展示し、青磁の美の世界を紹介する展覧会である。
古来、青磁はその色の美しさゆえに、中国で愛(め)でられてきた。「雨過天青雲破処」。この言葉は、青空、それも雨上がりの雲の切れ間から見える青空を指しており、10世紀、五代十国・後周の皇帝、柴栄(さいえい)が、理想的な青磁の色合いを表現するために用いたとされる。
もちろん、この言葉よりずっと前から、青磁は中国で焼かれてきた。そして後世、東アジアから欧米に渡った青磁は、「Celadon(セラドン)」の名で親しまれることになる。
青磁は微量の鉄分を含む釉薬(ゆうやく)を胎土(たいど)にかけ、高温で焼くことで青緑色の肌に仕上がったやきものをいう。土が緻密な白磁土であれば明るく、土が鉄分を含んでいれば、より深みのある色合いとなる。
起源は浙江省一帯といわれ、実際に同省北部では、伝説の夏王朝から春秋戦国時代にかけて原初段階の「原始青磁(青瓷(せいじ))」の窯跡が多数見つかっている。さらに千年を優に超える長い時間の蓄積を経て、2世紀の後漢時代には越窯(えつよう)の「印文四耳壺(いんもんしじこ)」など「成熟した青磁」が生まれてきた。