【ワシントン=坂本一之】レビット米大統領報道官は23日の記者会見で、トランプ大統領と赤沢亮正経済再生担当相が22日に合意した関税交渉を巡り、日本の対米投資に関する政府系金融機関の出資などの額をトランプ氏が交渉の中で引き上げたと明かした。ホワイトハウスは「前例のない日米の戦略的貿易・投資合意」と題する説明資料を発表し、米国の農産品や商用機を日本が購入するとアピールした。
レビット氏は、日本が提案した対米投資に関する政府系金融機関の出資や融資、融資保証の額は「当初4000億ドル(約59兆円)だったが、トランプ氏が1500億ドルの増額を交渉した」と説明。「米国民のために5500億ドル」で合意したと成果を強調した。
合意に関する説明資料によると、日本は米ボーイングの航空機100機を含め米商用機を購入する。また、米国の対日エネルギー輸出を大幅拡大し、日米でアラスカ産の液化天然ガス(LNG)に関する新たな契約を検討する。
日本は80億ドル分のトウモロコシや大豆、バイオエタノールなどの米国製品も購入する。日本が米国産のコメ輸入を直ちに75%増やすとも明記した。日本側は既存のミニマムアクセス(最低輸入量)の枠内で、米国産のコメの輸入量を増やすとしている。
日本は米国製の自動車やトラックに対する「長年の制限を解除」するとし、米自動車メーカーの日本市場アクセスを可能にすると掲げた。
合意には、日米同盟や米軍と自衛隊の相互運用性の向上に向け、日本が年数十億ドル分の米防衛装備品を追加購入するとした。米FOXニュースなどは当局者の話として、日本の米企業に対する防衛支出を年140億ドルから年170億ドルに増額すると報じた。
トランプ氏は23日の講演で、相互関税を通して日本から多額の対米投資を引き出したことを巡り「完全にコントロールしていて、本当に素晴らしい」と指摘。自身のディール(取引)の成果を訴えた。