32歳の自身を認めてくれる、またとないオファー。

 所属していたジェフへの想いはある。しかし、風間宏矢の心はほぼ決まっていた。その間、周囲に相談することはなかったという。

「それこそ本当に正式オファーが来るっていう段階の時に、(ジェフの)キャプテンの鈴木大輔さんに少し話したくらいですね。大輔さんは海外経験が豊富ですし、自分がアキレス腱を切った時に大輔さんと一緒にリハビリをし、いろんな話をしていました。だから、オファーをもらった時は大輔さんと『いや本当に来たか、マジか』みたいな会話をしたのを覚えています。それ以外の人には、サインをするまで何があるか分からなかったので、伝えてはなかったです」

 もっとも移籍するとなれば、クラブに認めてもらうしかない。折を見て鈴木健仁GM、小林慶行監督に自ら想いをぶつけた。

「もう本当に感謝しかなかったです。チームがダメと言ったら、移籍はできないわけで。代理人ともどういうふうにチームに話そうかと相談した時、自分の口で素直な想いを直接、伝えるしかないと考えました。『このタイミングを逃したら、もうオファーは恐らくない。だから海外に挑戦してみたい』と素直な言葉をぶつけました。ただ、その前の試合で(アキレス腱断裂からのリーグでの)復帰戦としてスタメンで起用してもらったばかり。クラブからどう言われるんだろうと不安でした。でも、自分の気持ちをしっかり伝えると、この3年半の貢献をすごく評価してもらえたんです。