女優・戸田恵子(67)がNHK連続テレビ小説「あんぱん」(月〜土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)で、ヒロイン・のぶ(今田美桜)が高知新報時代に出会う代議士・薪鉄子(まき・てつこ)役を好演している。1988年の放送開始から30年以上にわたりアニメ「それいけ!アンパンマン」でアンパンマンの声優を務めているだけあって、作者・やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルにした物語への出演は大きな話題を集めた。戸田にオファーを受けた時の心境や周囲の反響を聞いた。(那須 日向子)

 「なつぞら」以来6年ぶり6度目となる朝ドラで演じるのは、高知出身の代議士・鉄子。のぶ以上のスピード感で進んでいくハチキン(土佐ことばで、快活な女性)であり、「弱い立場の者に手を差し伸べる」という強い信念がある。のぶの人生に大きな影響を与えていくことになる重要な役どころだ。

 女性代議士を演じるにあたって当時の女性政治家に関するさまざまな記事を読んだ。「あの時代で男性の中に混じって世に出ていくのは想像を絶する大変さがあったと感じます。記事に出てくる女性はみんなとにかくかっこよくて。例えばバチっとスーツを着こなしていたり、赤いマニキュアをしている人もいたり…女性としての色合いを隠すことなく、どんどん前に出ていく姿が颯爽としていました」と印象を明かす。また内面のかっこよさも記事から伝わってきた。「鉄子さんもそうですが、思想や自分の思いを臆せず言うところを尊敬します。女性の街頭演説など今だったら普通のことですが、当時これをやってのける凄さを皆さんにも伝えられれば」