(ブルームバーグ):米電気自動車(EV)大手、テスラで車両エンジニアリングを担当するラーズ・モラビー副社長は、同社が予定する新製品投入が「大きな転換点」になると述べた。モラビー氏は26日、サンフランシスコのベイエリアで開かれたイベント「Xテイクオーバー」で講演した。
ネバダ州の工場で生産される「セミトラック」がテスラの使命にとって重要だと述べ、最も期待しているという。同氏は2010年にホンダから移籍し、今では約6000人のエンジニアを率いている。

「大きな転換期は時に、著しいマイナスのリスクを伴う」とモラビー氏。「自動運転とロボタクシー、ヒト型ロボットのオプティマス、そしてセミの投入でテスラは大きく変革する瞬間を迎える」と述べた。
イベントにはイーロン・マスク氏のファンが集まり、話題はテスラだけでなくスペースXなど他の事業にも及んだ。マスク氏自身も午後遅くにビデオ通話で登壇した。
一方、テスラは中核の自動車事業で深刻な課題を抱えている。車種ラインアップは新鮮さを失い、世界中でシェアを減らしている。特にカリフォルニア州では7四半期連続で販売台数が落ちている。
また長年EV市場を支えてきた7500ドル(約81万円)の税控除は、トランプ米大統領の税制改革によって廃止される。テスラの幹部は一連の規制変更が収益に打撃を与えると認めている。同社は当面、この税控除が9月末に失効する前に現行車種を可能な限り販売することを優先している。
将来の売上高を押し上げる鍵は、モデルYに似ているニューモデルだとマスク氏は述べている。テスラは現在、モデルSとX、3、Yとサイバートラックの5種を展開している。
イベントではハンドルのないツーシーターの自律走行車「サイバーキャブ」やヒト型ロボット「オプティマス」も披露された。
テスラはテキサス州オースティンで限定的なロボタクシーサービスを開始した。モデルYを使用した同サービスは、完全な自動運転とは異なる。今週末にはベイエリアでの展開を予定しているが、同社はカリフォルニア州で自動運転車の運用許可を得ていない。
原題:Tesla Engineering VP Moravy Says Company in ‘Big Swing Moment’(抜粋)
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