現地時間7月5日に行なわれたFIFAクラブワールドカップ準々決勝のパリ・サンジェルマン戦(0-2で敗北)は、バイエルン一筋のキャリアを貫いてきたトーマス・ミュラーにとって、同クラブでの最後のプレーとなった。

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 今季限りでの退団を発表していた35歳は、相手に先制を許した直後の80分にキングスレー・コマンに代わってピッチに登場し、味方を鼓舞した。後半アディショナルタイムにはCKからヘディングシュートを放ったが、これまで幾度も見られてきた奇跡は起こらず、ラストゲーム終了の笛を聞いた。

 試合後には、「正直、試合前とあまり変わらない気分だ。ただ次に進むために、全力を尽くすことだけを考えていた。他の感情は、これからじわじわ出てくるかもしれない。もちろん、これが(バイエルンでの)自分の最後の試合だということは自覚している。だからこそこれから数日、自分の中でどう感情が変わっていくかを見ていきたいと思う」と、やや客観的なコメントを残している。

 2008年にバイエルンでユースからトップチームに昇格して以降、ミュラーは17シーズンの在籍期間において、チャンピオンズリーグ(CL)2回、ブンデスリーガ13回、DFBポカール6回、UEFAスーパーカップ2回、クラブW杯2回の優勝に貢献。公式戦通算756試合に出場して、250ゴール、223アシストを記録し、ブンデスリーガでは1988-89シーズン以降では歴代最多となるアシスト記録(215)、最多勝利数(362)を樹立、さらにCLではドイツ人選手として最多の57得点と、輝かしい実績を築いてきた。
  これに対してドイツのスポーツ紙『kicker』は、「これまでに彼が成し遂げたことは、実に偉大だ。しかもそれらの全てを、たったひとつのクラブのために成し遂げたのだ」と賛辞を贈り、この「ワンクラブマン」にとって「もう“いつも通り”の日常は訪れない」と、喪失感の大きさを表現している。