第107回全国高校野球選手権千葉大会は27日、ZOZOマリンスタジアムで決勝が行われ、市船橋は八千代松陰に延長十回タイブレークの末、8―7でサヨナラ勝ちした。3年ぶり7度目の夏の甲子園出場を決めた。(平野梓)

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◆六回に顔面死球の花嶋大和選手、歓喜のホーム踏む

 土煙を上げてホームに滑り込んだ。死闘に幕を引く、サヨナラの走者となった市船橋の捕手・花嶋大和選手(3年)。左頬に当てたガーゼに血がにじむ痛々しい姿で奮闘。ヘルメットを高々と投げ上げて、ベンチを飛び出したナインと喜び合った。

 六回、顔面に死球を受け、その場に倒れ込んだ。口内から出血し、応急処置に10分以上かかったが、「出たいです」と直訴してグラウンドに立ち続けた。七回には「ここから先は全開でいくぞ!」とナインを鼓舞した。

 海上雄大(うながみ・ゆうた)監督も「彼が中心となってここまで3年間、チームをつくってきた。本人に『出たい』という意志があるなら」と、イニングごとに体調など確認しながら試合を続けさせた。

 花嶋選手にも譲れない思いがある。昨夏の決勝で打線の中軸を担ったが、快音は響かず、延長タイブレークの末に惜敗。「同じ失敗はしたくない。去年の忘れ物を取り返しにいく」という一心だった。

◆中学時代、日本代表にも選ばれた逸材

 この夏は捕手として投手陣を巧みにリードしてきた。期待された一発も飛び出し、高校通算24本を刻んだ。中学時代、日本代表にも選ばれた逸材は、名門校の攻守の要に成長した。