第107回全国高校野球選手権の栃木大会は27日、決勝が行われ、青藍泰斗(せいらんたいと)が延長十回タイブレークの末、4−3で作新学院に競り勝ち、35年ぶり2回目の栄冠をつかんだ。8月5日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する全国大会に挑む。

  ◇  ◇

◆延長十回タイブレーク 堅守で逃げ切る

 「葛生(くずう)」の旧校名を称していた1990年以来35年ぶりに、青藍泰斗が栃木の夏を制した。1点を追った八回に佐川秀真主将の適時二塁打で同点に追い付き、延長タイブレークへ。十回表、上畠光雲、鈴木俊世両選手の連続適時打で築いたリードをその裏、堅い守備で守り切った。

 十回裏の無死満塁、二塁手のゴロ処理が走塁妨害と判定され、1点を返されて無死満塁が継続。そこからが本領だった。

 「自分(遊撃)に飛んでこい。併殺を取ってやる」

 次打者のゴロは気合を高めていた佐川主将の横へ。ホーム、一塁と転送し併殺成功。最後の打者も一ゴロに抑えて接戦に決着をつけた。1年秋から主将を任されてきた背番号6が、攻守のキーマンになった。

 練習場内外の「意識改革」が、甲子園を引き寄せたと言っていい。「例えば、寮生活のごみ箱交換が当番制だったのを、気付いた人が率先して換えるよう改めた」と佐川主将。昨年秋の新チーム発足時、スローガンを「ワンチーム」に決めたからこそ、妥協はしなかった。

 就任して2年目の青山尚緯監督は甲子園へ向け「まずは楽しむことだが、勝負事なので、勝てるように準備していきたい」と、力むことなく意気込みを表した。(武藤康弘)