青森県七戸町の天間ダムで農業用水の放流量が少なくなっていることが25日、分かった。ダムを管理する県によると、原因は調査中で減少量も不明。県は代替措置として国から排水ポンプを借り、同日から水の供給を始めた。26日朝にはポンプ車も設置し、稼働させる見通し。周辺の稲作農家からは不安の声が上がっている。
天間ダムは坪川にある重力式コンクリートダムで、1968年に完成。1958.4万立方メートルの水をためることができ、農業用水などに利用されている。
県上北農林水産事務所によると、天間林土地改良区から17日に連絡があり放流量減少を把握。同日から現地調査を行っているが、原因特定に至らず24日、国からポンプ車1台と排水ポンプ2セットを調達した。
ポンプ車と排水ポンプ全てが稼働すれば、1分当たり25立方メートルを放流できるが、通常の放流量には及ばないという。詳細調査や原因特定後の作業には水を止める必要があることなどから、復旧は11月ごろを見込む。
一方、天間林土改区は、旧天間林村地区を対象にローテーションで取水する「番水制」を27日から行う。水路2カ所で2日ごとに交代で水を流す。
同町の農業男性(60)によると、現在は通常の3分の1程度しか田んぼに水が流れなくなっているという。今は出穂の時期で一番水が必要−とし、「秋の収穫に影響しないか心配。今の状態が改善され、いつも通りに水が来るようになってほしい」と取材に話した。
同事務所の竹谷文孝次長は「県としてできる限りの措置は行うが、農家の皆さまには節水にもご協力いただきたい」と呼びかけた。