あっちにもタワマン、こっちにもタワマン。気付けば日本の街はタワマンだらけになった。
それもそのはず。タワマンは2024年末時点で全国に1561棟もあるという。その土地の生活、景観、価値を大きく変えてしまうタワマンだが、足元には地元の人たちの生活圏がいまも広がっている。縦に伸びるタワマンではなく、横に広がる街に注目し、「タワマンだけじゃない街」の姿をリポートする。
今回は新宿駅から埼京線で38分。日本初のタワマンと言われる「与野ハウス」周辺を歩いた。タワマンを含む再開発は街をどう変えるのか。ひとつの答えがここにあった。
日本初のタワーマンションはどこにある
タワーマンションという言葉に、私はどうしても少し身構えてしまう。高層からの景色も、エントランスのきらびやかさも、それが“成功”や“勝ち組”の象徴のように扱われることに、なんとなく居心地の悪さを感じる。とはいえ、タワマンを含む開発が行われることで、街が活性化することも事実だ。
タワマンのスペックに関するかっちりした定義はないのだが、この連載では“2000年以降に竣工した100メートルを超えるマンション”といった程度で考えている。もちろん、それ以前に建てられたものもあり、もっとも古いタワマンは「与野ハウス(埼玉県さいたま市中央区上落合1-9-2)」というのが業界のひとつの定説となっているようだ。
【画像13枚】【写真アリ】日本初のタワマン「与野ハウス」。簡素ながらも味のある外観と、激変した周囲の街の様子