広島と備中神代を結ぶJR芸備線で、2025年7月19日から、列車の増便が行われています。同線存続の可能性を探るために国の再構築協議会が行っている実証事業です。どの程度利用されているのか、初日の臨時列車に乗りました。
芸備線で臨時列車を運行
広島駅と岡山県新見市の備中神代駅を結ぶJR芸備線。中国地方の山間部を走る閑散区間の存廃が議論されるなか、その区間の利便性を高める実証実験として、期間限定の増発が始まりました。
全線で159.1kmという芸備線のうち、広島〜下深川間は20〜30分に1本運行され、都市近郊路線といえます。三次までも1時間1本程度運行され、快速も走る路線です。しかし三次〜備後落合間、特に備後庄原〜備後落合間は1日に下り5本、上り4本と極端に本数が減ります。
さらに備後落合で系統分離され、備後落合〜東城間は1日3往復。この区間はJR西日本で最も利用が少ない区間であり、2020年で1日9人しか利用していません。そして東城〜備中神代間(全列車が伯備線の新見駅に直通)は6往復です。
芸備線はかつて広島〜米子間の急行「ちどり」も運行されていましたが、現在は備後庄原〜東城間は5〜8時間も列車が走らないなど、利便性が低い状況です。
このため、JR西日本は2022年、「特定の前提を置かずに、将来の地域公共交通の姿についても速やかに議論を開始したい」と沿線自治体に要請。沿線自治体は「廃線ありきは認められない」として拒否したことから、翌年「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づき、再構築委員会が設置されました。同委員会には国も参加して、利用促進、バス転換を含む将来像を話し合い、3年以内に鉄道の存続か廃止かの方針をまとめるとしています。
国はJR芸備線の備後庄原〜備中神代間について「地域経済効果の最大化と検証」を目的として、実証実験としての臨時列車を運行させると決めました。それを受け、JR西日本は2025年7月19日〜11月24日の土休日に、新見〜備後落合間と備後落合〜広島間で、それぞれ1日1往復の臨時列車を運転することになったのです。