マイクロソフトのチーフ・コミュニケーションズ・オフィサーであるフランク・ショウ氏が米国時間7月18日午後にXで、米国防総省のクラウドシステムの保守に関する技術サポートに今後一切、中国拠点の技術者に依存しないと発表した。

(筆者訳)今週初めに米国政府の監督下にある外国人エンジニアに関する懸念が寄せられたことを受け、マイクロソフトは米国政府機関のお客様へのサポート体制を変更し、中国に拠点を置くエンジニアリングチームが国防総省のクラウドおよび関連サービスに技術支援を提供しないことを保証しました。マイクロソフトは、国家安全保障パートナーと連携し、必要に応じてセキュリティプロトコルを評価・調整するなど、米国政府機関に可能な限り安全なサービスを提供することに引き続き尽力いたします。

 この声明は、7月15日午前5時(米国東部夏時間)、プロパブリカ(ProPublica)という調査報道機関が報じたマイクロソフトの「デジタルエスコート」と呼ばれるクラウドサービスに関する保守の問題点を指摘する記事が発端となっている。プロパブリカは、150人以上のジャーナリストチームを抱える道徳的な調査報道を行う独立したメディアである。運営費用は寄付によって賄われている。

 「デジタルエスコート」とは、機密性の高いシステムの保守を外国人に行わせる仕組みで、外国人エンジニアが作成したコード(プログラム)を受け取り、国家機密へのアクセスを許可するセキュリティクリアランスをパスした「デジタルエスコート」と呼ばれる米国人が管理・監督し、実際の変更を行うというものである。

 プロパブリカの記事は、「デジタルエスコート」と呼ばれる本来なら外国人エンジニアの作業内容を監視する役割の担当者がそれだけの技術的専門知識を備えていないことを指摘したのだ。その記事を見た共和党上院議員で情報特別委員会の委員長を務めるトム・コットン氏が、7月18日の早朝に記事を引用する形で、具体的に国防総省のどの請負業者がシステム保守に中国人エンジニアを使っているかの詳細をピート・ヘグセス国防長官に求める書簡を送ったことが、今回のマイクロソフトの声明につながっている。

 共和党上院議員の指摘で、マイクロソフトは7月18日の午後には、今後一切「デジタルエスコート」を使用しないとの声明を発表したのだ。