山形新聞、山形放送の8大事業の一つ「第5回みどりの学び 蔵王樹氷再生プロジェクト」の夏の教室が26日、山形市の蔵王山で開かれた。県内の親子ら24人が樹氷を形成するアオモリトドマツの枯死問題に理解を深め、再生の願いを込めながら、現地に稚樹を植えた。関係者を含めた植栽数は17本で、同プロジェクトでは過去最多となった。

 蔵王ロープウェイ蔵王山麓駅前で開会式が行われ、主催者代表の佐藤秀之山形新聞社長が「体験を通して得た子どもたちの小さな気づきの積み重ねが、気候変動対策の具体的な行動につながり、自然豊かな郷土づくりの原動力になることを願う」と呼びかけた。

 来賓の吉村美栄子知事が「美しい樹氷の景観を未来につないでいくため、皆さんの力を結集して一歩ずつできることから着実に取り組んでいきたい」、林野庁山形森林管理署の添谷稔署長が「いろいろな人の協力を得ながら、取り組みの輪を広げている。植栽を体験して自然の大切さを学んでほしい」と、それぞれあいさつした。板垣正義山形放送社長も出席した。

 参加者を代表し、2回目の植栽となる山形市南沼原小6年日下部遥馬さん(12)が「稚樹が数十年後には大きく成長し、立派な樹氷になってほしい。これからも成長を見守っていく」と未来に受け継ぐ意気込みを語った。

 夏の教室には、プロジェクトの趣旨に賛同する日本製紙や国際ロータリー第2800地区の関係者も参加した。参加者は稚樹を採取後、標高約1600メートルの地蔵山頂駅近くの植栽地に移植した。湿原「いろは沼」のトレッキングも体験し、自然の魅力や環境保全の大切さに触れた。

 「みどりの学び」はSDGs(持続可能な開発目標)運動の一環として、同管理署と県、やまがた森林(もり)と緑の推進機構の協力を得て2021年に始まった。東北森林管理局の調査によると、蔵王のアオモリトドマツは虫の食害で全体の約15%が枯死し、地蔵山頂駅周辺は約16ヘクタールにわたり枯死木のみとなっている。稚樹の移植は樹氷再生の一手として期待が高まっており、民間の活動を交えながら官民一体で植栽規模を拡大させている。