関西電力は22日、美浜原子力発電所(福井県美浜町)での新増設に向け、中断していた地質調査などを再開すると発表した。大阪市内で記者会見した森望社長は「地元の理解を得た上で、速やかに計画を決定し、再開したい」と述べた。東日本大震災後、国内で原発の新増設を巡る動きが初めて本格化する。
美浜原発は1、2号機の廃炉が決定し、3号機のみが稼働している。関電は2010年に増設に向けた調査に着手したが、翌年の東京電力福島第一原発事故を受け、中断していた。安定電源の確保を進める。
関電は今後、原発の敷地周辺で数年程度をかけ、実際に穴を掘るなどして地質や地形などを調査。建設が可能と判断すれば、基本設計にまとめ、原子力規制委員会に申請を行う。
関電はより安全性が高いとされる次世代型原発「革新軽水炉」を想定しているが、森社長は「どの時点で運転開始できるかなど、今の時点で申し上げることは難しい」と説明。調査結果を踏まえ、具体的に判断していく考えを強調した。実際の稼働までには20年程度は必要とみられる。
この日、調査再開の報告を受けた福井県の中村保博副知事は「古いものを使い続けるよりも、新しい方が安全性が高まるというのが一般的な考え方。地元に丁寧な説明をしながら進めてもらいたい」と話した。