日米関税交渉の合意により、日本から輸入する自動車に米国が課している追加関税は25%から12・5%へ半減することになった。関税の影響は一定程度軽減されるため、自動車大手からは評価する声が出ている。ただ、追加関税が存在する状況に変わりはなく、各社は今後、米国での販売価格の引き上げなどの対応を迫られそうだ。(経済部 浮田梨奈、奈良橋大輔)

 トランプ米政権が今年4月、基本関税に上乗せする25%の追加関税を発動した後、日本自動車工業会などは政府に対し、交渉を通じた追加関税の大幅な引き下げの実現を強く求めてきた。

 合意を受け、自工会の片山正則会長(いすゞ自動車会長)は23日夜、「交渉項目が多岐にわたる中、自動車を含む形での妥結に感謝したい。自動車産業への壊滅的な影響が緩和され、米国のお客様にとっても最悪の状況は避けられた」とのコメントを出した。自動車大手の関係者も「納得感のある数字だ」と話す。

 日米の交渉が長期化するとの懸念もあっただけに、今回の合意は、先行きの不透明感を一定程度、払拭ふっしょくすることにつながった。

 ただ、追加関税がなくなるわけではない。「税率が下がると言っても、高い球を投げつけられた反動で、落ち着いたように見えるだけ」(自動車大手)との指摘も出ている。

 日本の自動車大手にとって、高価格帯の大型車が売れる米国市場は利益貢献の大きい重要な市場だ。特にSUBARU(スバル)やマツダは米国内での販売台数の半分程度、三菱自動車は全てを日本から輸出している。