【ワシントン=田中宏幸、木瀬武】米国のトランプ政権は23日、日米関税交渉の合意内容の概要を公表した。日本による米国産コメの輸入拡大、5500億ドル(約80兆円)の対米投資、防衛装備品の追加購入が柱で、ベッセント米財務長官は同日、日本が順守しなければ対日関税率を15%から25%に戻すとの考えを示した。
公表文によると、農産物は、日本が「ミニマムアクセス(MA)」と呼ばれる無関税の枠内で、輸入量を即時に75%増やす。昨年度はMA米の輸入枠77万トンのうち米国は34・6万トン(45%)を占めた。
5500億ドルの対米投資は、半導体や医薬品の製造、重要鉱物の精製、造船など経済安全保障上、重要な産業基盤を強化するために資金が充てられる。一連の投資に伴う利益の90%は米国が得るとも明記した。
レビット大統領報道官は23日の記者会見で「もともと4000億ドルの投資だったが、トランプ大統領がその後1500億ドルの増額交渉を行った」と説明した。
製造・航空宇宙分野では、毎年数十億ドル分の米国製防衛装備品の追加購入や、米ボーイング社製の航空機100機の購入を確認した。
ベッセント氏は23日の米FOXニュースのインタビューで、日本の履行状況を四半期ごとに精査する方針を明かし、「トランプ大統領が(履行状況に)不満を持つようなら、自動車や他の日本製品全般への関税率は25%に逆戻りする」と警告した。