兵庫県宝塚市は、これまで「友引」に休場していた市営火葬場(川面長尾山)について運用の見直しを検討することを表明した。友引は、故人が親しかった人を道連れにするという俗説があり、休場していた。「多死社会」と呼ばれる、全国的な死亡者数の急増で火葬までの待機期間が長くなる傾向の中、阪神間の近隣市でも開場の動きが進んでいる。(高部真一)
友引は、大安、仏滅、先勝などの六曜の一つ。「結婚式は大安に」「友引には葬式は避ける」などと、冠婚葬祭の日程を決める際に、意識する人もいる。
宝塚市環境部によると、市営火葬場は、年間約60日ある友引の日を休場としてきた。かつては友引に申し込みが少なかったうえ、職員の休日確保のため、「1月1日及び友引日」を休み、施設の点検に充ててきた。
市内でも高齢化が進む中、同火葬場では2020年度には2254件だった火葬件数は、24年度に2696件に増加。24年度の死亡日が判明している2488件のうち、死後2〜4日の火葬は76%、7日以降は6%だった。しかし、今年1月に限ると、7日以降が46%を占めた。寒さに加え、インフルエンザの流行などの影響で亡くなる人が多かったという。遺族の事情で火葬を遅らすケースもある。
全国的に火葬需要はひっぱくしているうえ、友引に対する意識も変化してきたことから、近隣市では伊丹、川西、三田が友引にも開場。西宮市が毎月最初の平日の友引、尼崎市が1、2月に計4日の友引、芦屋市が年9日の友引を開場とし、友引にこだわらない態勢に転じつつある。
火葬場の友引の休場を巡っては、この7月の宝塚市議会でも取り上げられた。北山照昭議員(市民ネット宝塚)が一般質問で、「火葬が遅れると遺族の心労面や金銭面での負担が大きい」と、改善を求めた。
これに対し、森臨太郎市長は「重く受け止めている。友引の日に開けられないか、関係各所と調整しながら前向きに検討する」と答弁した。市では現在、死亡者が増える冬場の試行的な開場などを検討しているという。