【ワシントン=池田慶太】米国のトランプ大統領は23日、イデオロギー的に中立でない人工知能(AI)モデルを連邦政府から排除する大統領令に署名した。少数派に配慮するDEI(多様性、公平性、包括性)への圧力をテクノロジー分野に広げている。
大統領令は「ウォーク(目覚めた)AI」の阻止を掲げる。DEIのほか、人種差別撤廃やトランスジェンダーなど左派的偏向を示す対話型AIサービスを標的としており、連邦政府がこうしたサービスを運用する企業と契約するのを禁じた。
トランプ大統領は署名に先立つ演説で「米国民は目覚めたマルクス主義の狂気をAIモデルに望んでいない。政府は今後、真実や公平、厳格な不偏を追求するAIのみを扱う」と述べた。同日公表されたAIに関する行動計画でも排除方針が明記された。
生成AIが会話形式で自動回答する「チャットボット」を巡っては、サービスに左派的偏りがあると保守派は批判を強めている。米国では昨年、グーグルが開発した「ジェミニ」が黒人の初代大統領ジョージ・ワシントンの画像を生成した事例が問題視された。