吹奏楽の夏がやってきた。第53回富山県吹奏楽コンクール(県学校吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)が19日、魚津市で開幕する。富山市立新庄中学校の生徒たちは全員参加の練習を重ねている。目指すは「念願の県代表」だ。
「いいかい、高い山にみんなで登るんだよ。誰も置いていかずに登るのはじれったくて大変だけど、一歩一歩、みんなでたどりつくことが大切なんだ」。吹奏楽部顧問の佐藤純一教諭の言葉は、3年生たちの胸に刻まれている。
昨年のコンクールは銀賞。「思うような演奏ができず、悔しい思い」を味わい、先輩たちから「リベンジを」と託された。
部長の青山優希さん(ユーフォニアム・3年)は同級生たちと話し合い、今春から朝練の強化に乗り出した。12の音階練習、息をそろえる呼吸法、手拍子のリズム練習……。初めはまばらな参加だったが、LINEで呼びかけ、66人の全部員が参加している。
新入部員の勧誘にも力を入れた。吹奏楽の魅力や部員を紹介するパンフレットを作り、下校時に玄関で演奏しながら配った。1年生は31人も入部。コンクールの中学生A部門に出場できるのは50人までだが、出場しない1年生も練習に加わっている。
自由曲は「スクーティン・オン・ハードロック〜3つの即興的ジャズ風舞曲」。ジャズの即興性、ブルースの陰影、ラテンのグルーブ感が求められる。副部長の中川結衣さん(トロンボーン・3年)は「いろんなジャンルとリズムのごちゃまぜ感が面白い」。クラリネットの宮坂凛さん(3年)は「1小節ずつ変化する変拍子に息がつけない」と苦戦しながら、演奏を楽しんでいる。
トロンボーンを担当する副部長の島田優作さん(3年)は「タイトルの『スクーティン』は駆けぬけるという意味。全員でかっこよく走っていきたい」。力強い響きと分厚い音圧で演奏を支えるつもりだ。
コンクールは新川文化ホールで19、20日と26、27日にある。小学生から職場・一般まで7部門に108団体が出場する。(ライター・法野朱美)