TOP(福井県越前市、佐々木健治社長)は、カヤバ、大同工業と超小型モビリティーなどへの搭載を想定する電動駆動装置「イーアクスル」の共同開発に着手した。モーター、インバーター、減速機を一体化させた3イン1モデル。3社それぞれの技術を、すりあわせながら開発することで同出力の既存品に比べて3割程度の軽量・小型化を狙う。2026年中に試作、モビリティーに搭載して実証を行い、30年ごろの事業化を目指す。

3社は取引関係や地縁などがあり、24年から協業可能性を検討。このほどコンセプト模型を製作した。イーアクスルを構成するモーターはTOPが、インバーターはカヤバが、減速機は大同工業が担当する。モーターの出力はトヨタ車体の超小型電気自動車(EV)「コムス」をベンチマークとして、6キロワット級に設定した。

TOPのコア技術を生かした高トルクモーターで小型建設機械やオフロード走行車両への適用も想定する。駆動方式ではギア方式に加えて、大同工業が得意とするチェーン方式も選択できるようにする。

TOPは21年に独自のイーアクスル開発を始め、既に数年内の量産を視野に提案を進めている。現行品ではモーター以外の構成品は外部調達している。

電動モビリティーでは電費性能や設計自由度向上のために、搭載部品の軽量化や小型化に対する要求が強い。付加価値で競争を勝ち抜くには、各機能のノウハウを持つ他メーカーとともに、モジュール全体の設計を最適化させた次世代品を開発することが必須と考えた。

TOPは03年に松下電器産業(現パナソニック)が清算を決めたモーター製造会社を、経営陣と従業員による買収(MEBO)で独立。設立当初は家電向けを主体としていたが、リーマン・ショック以降に、完成車メーカー(OEM)との共同開発が始まり、車載向けを成長ドライバーに事業が拡大。現在は売上高の8割を車載用が占めているという。