原爆の体験を、漫才にして「継承」します。

被爆80年記念事業のイベントに、ベテランお笑いコンビが登壇しました。

※くわしくは動画をご覧ください

時津町「とぎつカナリーホール」で行われた、被爆80年記念事業『平和を奏で・語り・伝える』。

会場に集まったのは、子どもから大人まで、年代層もさまざま、約500人が来場しました。

イベントでは、時津町出身で長崎原爆被災者協議会の田中 重光会長が、ノーベル平和賞受賞を記念して講演しました。

(日本被団協 代表委員 田中重光さん)

「どのようにしたら、核保有国や核の傘に入っている国の人々(の心)を動かしていくのか。

本当に今からの若い人たちが、私たちの運動を引き継いで、継承していってもらう」

田中さんに続いて登壇したのは「アップダウン」。

北海道出身の竹森巧さんと阿部浩貴さんが結成したベテランお笑いコンビです。

この舞台で披露するのは「原爆体験伝承漫才」。

4年前に長崎被災協「二世の会」の依頼を受け、“原爆” をテーマにした漫才を制作しました。

(アップダウン 阿部浩貴さん)

「漫才ですから。まずはお笑いで楽しんでいただいて。その後に、しっかりとメッセージを届けさせていただこうと思うので、全力でやります」

(アップダウン 竹森巧さん)

「作品の中で “想像力” を豊かにしましょう、というテーマを盛り込んでいるので、今まで以上に想像していただいて、思いやりの気持ちを持ってもらえるきっかけにしてもらいたいと思います」

漫才の冒頭は、被爆者とのやりとりや、戦時中のどこの家庭にでもあった日常生活の話。

すると、会場のあちこちで笑い声が…。

子どもたちも、原爆に興味を持てない人も、どんどん引き込まれていきます。

そして、“8月9日” あの日の長崎の話へ…

被爆者からの証言を直接聞き取り、作り上げたそうです。

緊迫した演技で、被爆直後の長崎の姿を表現します。

(アップダウン 竹森巧さん)

「やっぱり重いテーマだけど、ちゃんと笑いとか、ユーモアもあることによって、聞く耳を持ってもらえるっていうところを、やっぱり改めてきょう感じましたね。続けていこうと思います」

(観客)

「私は84歳、被爆者です。漫才って軽く考えていたけど、上手にね。ピッタリやった。雰囲気的に良かったと思いますよ」

(中学3年生)

「ユーモアがありながらも、平和の本質を学べたのでよかったです」

(アップダウン 竹森巧さん)

「ホームみたいな感じに温かく迎え入れていただいた。第二の故郷って感じですね」

アップダウンは、8月3日にも、長崎市で行われる平和イベントに出演するということです。