【大人気連載プレイバック】#12
日刊ゲンダイではこれまで多くの球界OB、関係者による回顧録、交遊録を連載してきた。
当事者として接してきたからこそ見える、あの大物選手、有名選手の知られざる素顔や人となりが記されており、当時の空気や関係性がありありと浮かび上がってくる。本企画では、そうした一編を過去の連載の中からピックアップ。あらためて掲載する。
前回に引き続き故・伊良部秀輝について綴られた、元巨人の橋本清氏(評論家)による「僕だけが書けるスター選手の真実」(第15回=2004年)を再公開。年齢、肩書などは当時のまま。(※この項は全4回。今回はその②)
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87年のドラフトで、ボクはあこがれの巨人に1位指名された。事前に指名のあいさつを受けてはいたものの、スカウトからは「1位は立教大の長嶋一茂か慶応大の鈴木哲を考えている。君は外れ1位か2位になると思う」と説明されていただけに、まさかの1位指名だった。
PL学園からはほかに、立浪が中日に1位指名。左腕エースの野村は大洋(現横浜)に3位で指名を受けた。のちに日本ハムに入団する4番の片岡は複数のプロからの誘いを断り、同志社大学に進学。1歳年下で三塁を守っていた宮本は同大、プリンスホテルを経てヤクルトに逆指名入団した。
甲子園で春夏連覇を果たしたボクらは、プロにも注目される存在になっていた。が同じ世代で、伊良部だけは別格だった。