胸骨圧迫の方法を学ぶ参加者=佐賀市大和町の小川公民館
佐賀市大和町春日北校区の小川(こがわ)地区で29日、水害を想定した総合訓練が行われた。住民ら約100人が参加して避難経路を確認し、消防署職員の出前講座などで救命や防災対策を学んだ。
2021年8月豪雨では、大雨特別警報発令直後に地区の山間部で土石流が発生。あふれた河川の水が住宅地内に流入し、日常生活に影響が出た。総合訓練は過去の災害を振り返ることで危険箇所を再確認し、防災意識を高めようと、地区の自主防災会(西川徳夫会長)が毎年実施している。
雨が4日間降り続き、総雨量が450ミリを超えたという想定で実施。消防団は氾濫危険河川を監視するなどし、住民は、班長の誘導で6班に分かれて避難した。
佐賀広域消防局北部消防署の職員による救命訓練もあり、自動体外式除細動器(AED)の使い方などを学んだ。参加者から「パッドを貼る位置は」など複数の質問が上がった。
活動を参考にしようと、同じ校区内の春日自治会の役員も視察に訪れた。自主防災会副会長の防災アドバイザー・本野正明さんが「暑い中、多くの人が参加してくれた。学んだ後には質問も多く、関心の高まりを感じた」と講評した。西川会長は「訓練も4回目。地域全体での取り組みになってきている」と話した。(川﨑久美子)
■自主防災会が豪雨の記録作成
小川地区自主防災会は、2019年、21年の豪雨の概要や被災状況をまとめた冊子『令和元年・令和3年 豪雨の記憶』を作成した。これまでに220部を作り、訓練に参加した世帯などに渡している。
冊子は17ページで、それぞれの年の豪雨の概要のほか、被災状況、その後に行われた水門改修工事や緊急治山事業などを紹介している。自宅周辺の危険箇所の把握に役立ててもらおうと、行政からの提供写真に加え、住民が撮影した道路の冠水状況を示す写真も多く使った。
冊子作成の中心となった廣重和也さん(70)は「記録に残して災害があったことを伝えることが大切。災害時の対応を確認する際に役立ててもらえたら」と話す。(川﨑久美子)