参院選で目標の過半数に届かず、大敗を喫した自民党。その責任を問われ退陣論が高まる中、石破茂首相は麻生太郎氏、菅義偉氏、岸田文雄氏の首相経験者3人と会合をおこなった。そこで何が話し合われたのか、石破政権の運命はどうなるのか。元朝日新聞政治部デスクの鮫島浩氏が語る。

 

「麻生氏らとの会談後、『私の出処進退の話は一切出ていない』と石破総理は表明しました。しかし、実際は麻生氏や岸田氏は『明言』という言葉は使わなかったものの、石破総理に退陣を強く迫っていた。彼らは石破総理に激怒し、会談内容をリークしたのでしょう。もはや石破総理は『裸の王様』です。

 

 

 石破総理の退陣表明は8月末でしょう。日米関税交渉が合意し、居座りの口実にできなくなりました。それでも強引に居座る最大の目的は、終戦記念日に戦後80年の談話を出すこと。安倍政権の70年談話を否定するのではないかと旧安倍派は警戒していますが、石破総理としてはそれまで踏みとどまり、できれば日米首脳会談も実現して花道としたい考えです」

 

 石破首相は政権延命のため、かねて立憲民主党との大連立構想を練っていたとされる。しかし投票日の翌21日未明、立憲の野田佳彦代表は、「石破政権に対して国民はノーという意思表示をした。『大連立』はありえない」と述べた。鮫島氏は、「これで万事休す。あとは1日でも長く居座ることを画策するものの、秋の臨時国会に突入することは、大災害でも起こらない限りほぼ断念したと言えるでしょう」と指摘する。

 

 では、ポスト石破はだれになるのか? 鮫島氏は、最有力として高市氏をあげる。

 

「現在の裏の主役は、間違いなく参政党。自民党も今回の選挙で保守層をかなり参政党に切り崩されたので、そこに危機感を覚えている自民党関係者も多いでしょう。その保守層を取り戻すために、自民全体を一度右に戻そう、という意識が働いていると思います。そう考えると、もっとも可能性が高いのが高市さんです。

 

 しかし、現在の自民党は公明党と組むだけでは政権運営が成り立たない。どこかと連立しなければいけませんが、高市さんであれば、積極財政で政策が重なる国民民主党でしょう。自公国連立政権が成立すると思います。玉木雄一郎代表が財務大臣をやり、ガソリン税と所得税減税で合意する、と見ています」

 

 一方、“高市首相”となると危うくなるのが外交だという。

 

「アメリカが高市さんを警戒していますから。韓国もリベラル政権ができたので、高市さんのことは非常に危険視しているでしょうね。彼女が8月に首相に就任して、いきなり靖国神社に参拝するようなことになれば、米韓が黙ってはいないでしょうね」

 

 自公政権は衆参ともに少数与党となった。日本政治は大きなターニングポイントを迎えているのだろうか。