7月16日、天皇杯3回戦で関東大学サッカーリーグ1部の東洋大は、J1のアルビレックス新潟と対戦する。

「当然、我慢の時間は長くなると思いますが、次勝ってこそ、柏レイソル戦の勝利(2−0)が本物になると思うので、全力で勝ちに行きたいです」

 東洋大の1年生CB岡部タリクカナイ颯斗は、2試合連続のジャイアントキリングに向けて、その牙を研ぎ澄ませている。

 187センチ、77キロ。柏レイソルU-15からU-18に昇格できず、同じ県内の高校サッカーの名門・市立船橋高の門を叩く。高2の途中までは大型ストライカーとしてプレーしたが、プレミアリーグEAST後期からボランチにコンバートされると、さらにCBにポジションを変える。最終ラインを任されたことで、その能力は一気に開花した。

 空中戦と対人の強さ、カバーリングのスピードと寄せの速さ。たちまち市船の守備の番人になると、前への推進力とシュート力を駆使し、攻撃面ではチャンスを引き寄せるアタッカーとして試合中に変貌を見せるなど、抜群の存在感を放った。

「高校で縦のラインをすべてやらせてもらったことで、自分の中で攻撃と守備のバランスや感覚などを培うことができました」

 東洋大に進学すると、CBとして5月に初のベンチ入り、リーグデビュー、スタメン獲得と、一気に頭角を現してきた。

「フォワードの経験がものすごく生きています。フォワードがどこを見ているのか、どこを狙っているのか、何を考えているのかを経験と合わせて対応するようになりました」
 
 そして、三協フロンテア柏スタジアムで行なわれた6月11日の天皇杯2回戦・柏戦は、「小学校からサッカーをやってきて、一番楽しかったですし、『良い経験』という言葉では表わせないくらい、いろんな感情が込み上げてきた」一戦となった。