全国各地で被災地の支援に取り組む「日本財団」は、災害時に自治体とNPOなどが連携する際に役立つ手引を作成した。能登半島地震で大きな被害を受けた能登町で24日、この手引を使った初めての研修会が開かれ、町職員らが対応を話し合った。(猿渡健留)
手引のタイトルは「災害時における共助の活用の手引き」。6月に発行された。能登半島地震をはじめ、九州北部豪雨などの現場で官民連携で活動した10の事例を、炊き出しや在宅被災者、子どもの居場所などの項目ごとに紹介。実際に災害に対応した自治体やNPO、社会福祉協議会の担当者らが当時を振り返っている。図も使いながら、連携の体制を分かりやすく説明する。
能登半島地震の活動については、珠洲市が技術系NPOと協力して道路啓開をしたり、NPOが炊き出しの調整役を担ったりした事例などを紹介。災害時の課題や改善点についても言及し、いつどこで起こるか分からない災害対策に生かしやすい構成になっている。
能登町の研修会は町役場で開かれ、町職員や県外からの派遣職員ら計約30人が参加。手引の概要について説明を受けた後、昨年元日の地震を振り返りながら、官民連携の手法について考えた。避難所の運営や支援物資の配送、医療のサポートなど、さまざまな例を挙げて話し合った。
研修に参加した町危機管理室の道下政利室長は「民間との連携について、平時から知っておくことが必要。震災当時のことを振り返り、次につなげられたらいい」と話した。手引の作成を担当した日本財団の寺田歩さんは「発災時の混乱の中でも見て分かる手引きにした。過去の事例を知り、平時からシミュレーションしてほしい」と語った。
手引は日本財団のホームページからダウンロードできる。